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2026.3.31

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メンマは何からできている?

ラーメンの名脇役の原料と作り方を専門メーカーが解説

ラーメンのトッピングとしておなじみの「メンマ」。

シャキシャキした食感と独特の風味で、ラーメンには欠かせない存在ですが、

「メンマって何からできているの?」

と聞かれると、意外と知らない人も多い食材です。

結論から言うと、

メンマは竹から作られる発酵食品です。

今回はメンマ専門メーカーの視点から、

・メンマの原料
・なぜ竹が使われるのか
・メンマの発酵
・メンマの色が茶色になる理由

などについてご紹介します。


メンマの原料は「麻竹(まちく)」という

メンマの原料は
麻竹(まちく)という種類の竹のタケノコです。

日本でよく食べられているタケノコといえば

・孟宗竹(もうそうちく)

・真竹(まだけ)

などが一般的ですが、メンマに使われる竹はそれとは少し違います。

麻竹は台湾や中国南部などの温暖な地域で育つ竹で、日本のタケノコとは収穫のイメージも大きく異なります。

私たちが思い浮かべるタケノコは、

土から少し顔を出したものを鍬で掘り起こして収穫する

というものではないでしょうか。

しかし麻竹の場合は違います。

タケノコは地上に出てからも成長を続け、
1m以上にまで伸びた状態で収穫されます。

【写真:収穫サイズの大きな麻竹タケノコ】

見た目はすでに竹のように見えるほど大きく育っていますが、それでも内部はまだ柔らかく加工に適した状態です。

このように

・大きく成長しても柔らかい
・繊維がしっかりしている

という特徴があるため、麻竹はメンマの原料としてとても適しています。

この大きなタケノコを加工することで、
メンマ独特のシャキシャキした食感が生まれます。


メンマは発酵食品

実はメンマは、発酵食品の一種です。

麻竹のタケノコには、もともと乳酸菌が存在しており、加工の過程で自然に乳酸発酵が起こります。

一般的な工程は次の通りです。

1 タケノコを収穫
2 下処理・ボイル
3 密閉保存
4 乳酸発酵
5 乾燥

この発酵によって

・メンマ特有の風味
・ほのかな酸味
・食感の変化

が生まれます。


メンマの発酵には「半発酵」と「完全発酵」があります

メンマの原料は、およそ1か月ほど乳酸発酵させて作られます。

実はこの発酵の進み具合によって、原料メンマには2つの状態があります。

・半発酵メンマ

・完全発酵メンマ

一般的に、発酵を始めてから2週間ほどでpHが下がり、食べられる状態になります。

この段階の原料を「半発酵」と呼ぶことがあります。

しかしこの状態では発酵がまだ十分ではなく、酸化が進みやすく保存性が低いという特徴があります。

半発酵の原料は保存中に黒ずみが出やすく、半年ほど経つと色が劣化することがあります。

また、乾燥メンマを水戻しする際の歩留まりが2〜3割ほど悪くなる傾向もあります。


約1か月発酵させた「完全発酵メンマ」

一方、発酵を約1か月しっかり進めた原料は「完全発酵メンマ」と呼ばれます。

完全発酵した原料は

・色の劣化が少ない
・保存性が高い
・水戻し時の歩留まりが良い

という特徴があります。

実際、完全発酵の原料は1年程度保存しても色の劣化がほとんど見られません。

そのため加工する際にも、過度に濃い醤油味などで色をごまかす必要がありません。

竹本来の色味を活かした、きれいな飴色のメンマを作ることができます。


メンマの発酵方法

メンマの発酵方法はとてもシンプルです。

収穫した麻竹のタケノコをボイルしたあと、
密閉した状態で保存するだけで自然に乳酸発酵が進みます。

麻竹にはもともと乳酸菌が存在しているため、外から菌を加えなくても発酵が進みます。

伝統的には、こうした発酵は竹かごの中で保存する方法で行われてきました。

現在では

・石の発酵槽
・コンクリート槽

など、より工業的な設備で管理されることもありますが、基本的な原理は昔と変わりません。


発酵したメンマはかなり酸っぱい

発酵した原料メンマは、実際に味見するとかなり酸味があります。

乾燥メンマをそのまま舐めただけでも分かるほどで、するめと間違えて噛んだ人が思わずまずい顔をするほどです。

それだけ乳酸発酵がしっかり進んでいる証拠でもあります。

台湾などでは、この発酵メンマを塩漬けで保存した原料が一般的で、酸味を活かした総菜なども多く見られます。


メンマが茶色い理由

収穫されたタケノコは、切り口を見るとほんのり緑色を帯びていることがあります。

これは竹に含まれる植物色素
**葉緑素(クロロフィル)**によるものです。

しかしメンマの加工では

・加熱
・発酵
・乾燥

といった工程を経ることで、この葉緑素は徐々に分解されていきます。

葉緑素は熱や酸、乾燥に弱い色素のため、加工が進むにつれて緑色が抜け、竹の繊維本来の色である淡い茶色〜飴色へと変化していきます。

つまりメンマの茶色は着色ではなく、加工の過程で自然に起こる色の変化なのです。


中国ではこの工程を「殺青(サーチン)」と呼ぶことがあります

メンマの原料加工は主に中国や台湾で行われています。

現地では、竹の緑色や青臭さを抑える工程を
**「殺青(サーチン)」**と呼ぶことがあります。

漢字だけ見ると少し物騒ですが、これは「青(緑)をなくす」という意味の言葉です。

もともとは中国茶の製造などで使われる言葉で、植物の酵素反応を止めたり青臭さを抑えたりする工程を指します。

なお、この言葉は殺菌(微生物を死滅させる処理)とは別の意味で使われています。


塩メンマで緑色の斑点が残ることがあります

乾燥工程を行わない塩メンマなどでは、まれに緑色の斑点が残ることがあります。

これは

・竹の組織の一部に葉緑素が残っている
・加工条件によって色素分解が進まなかった

といった理由によるものです。

見た目が気になる場合もありますが、
竹由来の天然の色素が残っている状態であり、品質や安全性に問題はありません。

カビのように広がるものではないため、安心してお召し上がりいただけます。


いかがでしたでしょうか?

今回はメンマができるまでの前半戦を簡単に解説しましたが、メンマって奥が深いですよね。

この後皆さんの食卓に並ぶまでには、硬い節部分を取り除く地獄のカット作業があったり、人海戦術の選別作業があったり結構手間と時間がかかるんです。

このあたりはまた次の機会に解説したいと思います。